大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸地方裁判所 昭和48年(わ)233号 判決

本籍

中国山東省逢来県

住居

神戸市生田区山本通三丁目三八の二

料理店業

兆兆鴻

一九一八年一一月一三日生

所得税法違反被告事件

出席検察官

藤野千代磨

主文

被告人を徴役一年および罰金二、〇〇〇万円に処する。

本裁判確定の日から三年間右徴役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納しないときは金三万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、神戸市生田区江戸町九四番地、および、大阪市東区平野町二丁目一〇番地平和ビル内において「第一楼」の商号でそれぞれ中華料理店を経営しているものであるが、所得税を免れようと企て、

第一、昭和四四年分の実際所得金額は一〇四、〇五九、二七六円でこれに対する所得税額は六八、一三六、六〇〇円であるのに、売上げの一部を除外し、これによって得た資金を架空名義の普通預金などとするほか、神戸市所在の「第一楼」は、劉青年ほか一名との共同事業で被告人の利益配分率は三〇分の一四であり、大阪市所在の「第一楼」は、徳増衆一ほか二名との共同事業で被告人の利益配分率は二〇分の九である旨それぞれ仮装するなどしてその所得のうち九二、四〇五、二三〇円を秘匿したうえ、同四五年三月一三日、所轄神戸税務署において、同署長に対し、昭和四四年分の所得金額は一一、六五四、〇四六円でその所得税率は四、五五三、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、六三、五八三、二〇〇円の所得税を免れ、

第二、同四五年分の実際所得金額は九三、九一一、五七一円で、これに対する所得税額は五八、六〇六、八〇〇円であるのに、前同様の不正手段により、その所得のうち七四、七七三、四三四円を秘匿したうえ、同四六年三月一三日、同税務署において、同署長に対し、昭和四五年分の所得金額は一九、一三八、一三七円で、その所得税額は八、三四八、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、五〇、二五八、三〇〇円の所得税を免れ、

たものである。

(証拠)

検察官請求証拠目録甲1ないし311、乙1ないし5の各証拠ならびに被告人の当公廷における供述

(法令の適用)

各所得税法二三八条一項二項、一二〇条一項三号(併科刑選択)

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条、二五条一項、一八条

刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 知識健治)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例